認知0からの採用ブランディング
新卒採用コンサルティングをしていると"なぜDeNAは採用が強くなったのか"と問われる。私は2010年にDeNAに入社し、初期配属は新卒採用。自分が入社した当時は、アバター主体だったモバゲーが、怪盗ロワイヤルを始めとするSocial gameにまさに舵を切らんとすというタイミングで社員は500名程度だっただろうか。
当時DeNAの新卒採用に全くブランドはなく、友人に話をしても"遺伝子の会社?"と聞かれ、学生に話しかけようとも無視される。そんな0スタートだった。そこから11年度45人、12年度90人ほど、13年度120人ほどと3世代の採用を行い、12,13年度では、外コン・外銀・リクルートに内定を採るようなの優秀な学生を大量にDeNAに入社させることができた。
理由はシンプルで、奇襲攻撃を最大の火力で行ったからだと思っている。
新卒採用には、1.母集団形成・2.選考・3.フォローの大きな3工程があるが、それぞれのビジョン・サイエンス・アクションを徹底的に奇策で突き詰めることが重要だった用に思う。
1.母集団形成
[ビジョン]
競争力であった、人とミッションを尖らせるために、現場の"優秀な人が泥を飲みながら猛烈に前進していくベンチャースピリット"を採用担当に憑依させる取り組みをした。当時は社内の様々な活躍人材を毎日ランチに誘って、彼らの思いを聞き、"○○のようなタイプの学生なら絶対にのめり込むことができ、活躍することが出来る!"と100%信じれるくらいに。採用担当が学生に夢や未来の姿を伝えられるようにした。
[サイエンス]
どのように認知0から、母集団を作るかを戦略的に設計した。接触率の最大化と転換率の最大化を行うために、他社がやっていなかったことを戦略の中心に据えた。接触率の最大化は色々あるのだが、大きくは1)最速で最大のインターンコンテンツをぶつけること・2)新興webサイトのジャックすること・3)ターゲット大学へ足を運んで張り込むこと。転換率は、4) 魅力的な集客口としてのビジネス講座コンテンツの拡充や、インセンティブのある交流会の設計を緻密に行うこと。
誰よりも早く大きな網を張り、会社が持つ1番強い所に誘導し、勝負を仕掛けた。
[アクション]
1)インターンの設計の工夫
恐らく一番最初に日本企業で経団連の方針にアラインしないことを決め、相手を外コンと外銀に絞った。StuDIGという、大前研一氏・南場さんを始めとする審査員陣、2泊3日で執行役員がベタづき、参加できると10万、優勝したらシリコンバレーツアーという豪華なコンテンツを作った。
2)新興webサイトのジャック
上記コンテンツを、当時は知る人ぞ知るGood findや外資ドットコムというサイト(今は超有名)をジャックして、どの会社のサマーインターンよりも早く告知した。そもそも、当時は新興webサイトに施策を固める企業はなかったはず。
3)ターゲット大学へ足を運んで張り込み
認知0の状態では、インプレッションが取れてもアクションを起こしてもらえないので、幾つかターゲットとして決めていた大学には、泊まり込みで張り込み、信頼関係を作れた学生をハブに、朝から晩まで会い続けた。空中戦だけではなく、1on1をひたすら繰り返してエンゲージメントをした。
4) 出口としてのビジネス講座コンテンツ
会った学生のネクストアクションとして、色々なアトラクトコンテンツを作った。ロジカルシンキング講座・新規事業講座・マーケティング講座等だ。そこには惜しみなく役員のリソースを使い、徹底的にクオリティにこだわったコンテンツを作った。あとは、地味だけど効くのが少し豪華な店で食事会を開くこと。
と、当時は全てが斬新なアプローチだったはずなんだけど、全てコモディティ化したよなぁ。もはやどこも、これらは当たり前にやることになってしまっている。今、圧倒的に強い新卒採用をするとしたら、全く違う奇襲戦略を考えなければならない。そういう考え方で採用コンサルティングをしています。
長くなったので、選考とフォローはまた今度気が向いた時に書こう。
企業という虚構の崩壊
企業という虚構の影響力が急速になくなっている。
この変化は、意識をしていない企業や人は、向こう数年の間で取り返しのつかないことになるし、意識している企業や人は多くを得る、ドラスティックな変化だと思っている。
・"企業 > 顧客"だった力関係は、もはや"顧客 > 企業"へ
webやソーシャルメディアが流通したことによって、企業 to 顧客の一方的な情報提供に最適化した組織体制や、施策実行がはまらなくなっている。顧客に届けるのではなく、顧客をエンゲージメントするために、顧客 to 企業の情報収集を常時行い、個々の顧客のパーソナライズされた体験を提供する重要性が高まった。下記がいい記事。
・企業 > 社員だった力関係は、もはや社員 > 企業へ
情報統制が効かなくなり、転職の自由度が増え、企業の持続性が担保されなくなった現在において、もはや企業がエライことは1ミリもない。今は、社員にとって魅力的な労働環境を作って、魅力ある虚構を構築されていなければ正直あまり必死にしがみつく必要もない。下記が面白い。
今自分はこの企業の在り方の再定義について、前者については本業でビジネスにしているし、後者に関しては、本業では自身が大きな壁にぶつかりつつ、副業ではこれをビジネスにしている。
10年前、学生の時に就職活動で思い描いた個の時代がようやっと来た。
最も興味がある分野だ。
どうして企業は"インフルーエンサー"に騙されるか
昨日、前職で一緒だったshowroom前田さんの記事に共感し、なぜ企業がこういったミスを侵すのかという根源を特定したくなった。
現在BtoBの領域では、世界同時多発的に"CXM"や"デジタルトランスフォーメーション"という言葉がブームだ。人口の大半がスマートフォンを持ち、WEBやSNSを使う今の世情に合わせて、企業や人そのものを変革させなければいけないからだ。
ただ、特に日本ではこのワーディングに大いなる誤解がある。解きほぐしていくと、なぜかほぼ確実に、"プロモーションのデジタル化"の話になってしまうからだ。そこには、明確に理由がある。
もともと情報の非対称性が強く、企業やブランドがコミュニケーションの主体となって、カスタマーに情報が届けるプロモーション=マーケティングだった。企業もそれに最適化された組織図、指揮系統になっていた(下図1)。それが1番効率が良かった。
[図1]
しかし、今はSocialメディアやwebメディアを通じて、顧客同士が繋がり、顧客がコミュニケーションの主体となった。情報が収集経路、発散経路が増えた(図2)。一方的な企業からの情報の信用は下がり、顧客の期待値と企業の施策がどんどんかけ離れていっている。
それに気づかず、依然企業は一方通行で"顧客をコントロール"したがる。図1の情報発信経路の考え方で、図2の世界に向き合おうとする。結果今起きているのは、各企業のセクションで別々に"顧客を管理する"システムを入れるも、結局顧客を管理しきれず、活路が見えていない。結果、暗中模索でデジタルの新しいプロモーションに次々と手を出す。その一つの避暑地がインフルーエンサーマーケとなっている。
こういった状況で、メディア出稿を基軸としたプロモーション脳の担当者がインフルーエンサーを考えると、どうしてもインフルーエンサー=リーチ確保 =フォロワー数になってしまう。
今重要なのは、個人でも法人問わず、"顧客を管理する"ことではなく、"顧客の体験を管理(CXM)"して顧客からの信用・信頼を勝ち取ることであるのに、大いなるズレである。
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とわいえ、社員の考え方から組織を変えられるほど、大企業のフットワークは軽くないので、組織の在り方を変革しない限り、大きな企業で働く社員の考え方も変わらない。
私は2年前、この組織変革を実現する方法論を持つSprinklrに可能性を感じてSprinklr Japanの創業に参画した。顧客の体験をあらゆるタッチポイントから集積しマネージしながら、組織を起点とするのではなく、顧客の体験を起点とした組織の再構築を行うのだ。
ありがたいことに日本でも、先端をゆく方を中心として、大きな組織が動き始めた。
付随して、業界を変えるパートナーも加わって頂けた。
現在起きている世情と企業のズレを解消していくことによって、企業と顧客の関係性に大きなパラダイムシフトが起こしたいと思っている今日この事。
最後はただの弊社の宣伝でした。てへぺろ。
自分を突き動かすもの
どうしてもサッカーだけはやめられない。中学で挫折した時、大学に入るとき、社会人になった時、結婚をした時、いろんな転機で考えてきたけど、幾度と無く"本気でやるサッカー"を選び続けてきた。最近は一緒にサッカーをするメンバーの経験レベルが自分のそれとはかけ離れているから、"本気"という言葉を使うとすごくチープに見えてしまうんだけど、それでも自分の中では"本気のサッカー"だった。
本気のサッカーには必ず大きな目標があって、そこには試合に勝たなければ到達できなくて、試合に勝つために個人を磨き続けてメンバーと競争しなければいけないし、試合の中では共創しなければいけない。
最高のメンバーと最高の準備をして、最高の試合をして、高みに上がっていく。そんなプロセスの中で、新しく見えてくる景色とか、その時に感じる腹の底から湧き上がってくる何かをずーっと追い求めることができたのが"本気のサッカー"。
サッカーはこの原点にいつも自分を引き戻してくれる。
大人になってきて思うのが、個人を磨き続けていく辛さや厳しさを、かわして生きたり、のし上がったりする方法はいくらでもある。ただ、そこを逃げずに立ち向かって、試合に望んでいくようなそういう人生でいたいんです。
自分が息絶えるその瞬間まで、目一杯学んで、自分を磨いて、試合の場に出続ける人生をデザインしていきたい。
アメリカと日本の違い
営業マンの思う事業開発
「会社 × プロダクト × その人自身= 事業ポテンシャル」
学生の時からかれこれ8年近くぼんやり頭の中にあったものを、ようやく自分の言葉として咀嚼できつつある。色々な事業を立ち上げ、幾つかの会社やコミュニティでビジネスを行った中でようやく。
色んな事をやってきたけど、まず、自分のスペシャリティは間違いなく営業。営業をベースとしたアプローチをとる。それはビジョンや戦略のKPIも、アライアンスも、採用も、チームビルティングも、開発優先順位のつけかたも...全て対人コミュニケーションがベースとなる。そんな[営業マン]として事業の成功角度をあげる際に必要なのはこんな感じなんだと思っている。As of 15th Aug 2015
*完成したとは思ってないし、これからどんどん修正が入る前提
「1) 会社 × 2)プロダクト × 3) 自分自身= 立ち上げる事業ポテンシャル」
└ 1) 会社 = 知名度 + 実績 + 財力 + 人材リソース
└ 2) プロダクト = サービスそのものの価値
└ 3) 自分自身 = {(ビジョン + 論理 ) × 人間性} + 人脈
何かが尖ればその分有利だし、どれか0な時点でアウトなので、そこは1以上になるような努力をしなければならない。だからこそ、会社によって事業KFSが全然違う。
(会社:すごい) × (プロダクト:すごそう) × (人:?)
⇨ 自分の力を伸ばす事が一番の事業KFS。これによりアライアンスやリクルーティングの難易度が大きく左右。
第三者からみたSprinklrの時の事業立ち上げ:
(会社:知る人ぞ知る) × (プロダクト:?) × (人:?)
⇨ 自分の力を伸ばす事に加え+会社やプロダクトを広めながらファンを増やしていく事がKFS。
手前味噌になるが、Sprinklrの会社やプロダクトは、かなりすごいし、本気で世界を変えられるとも思っている。だからこそ、自分を高めつつ、日本のなかにしっかりと浸透させていかなければならない。
まだまだ、なりたい自分や変えたい未来に対してやれてないことが多すぎる。
30歳まであと2年と5ヶ月ほど。時間がない。
海外から学び、日本の市場を創り上げる
Sprinklrに入社して1ヶ月が経った。
これまでDeNAでアライアンスベースの新規事業をいくつもやったことで、話を聞いてくれる方々が多数いて、その中でお客様になって頂けそうな方々がいたり。新卒採用にどっぷり浸かったことで、インターンを取ろうと決めてから2日で大量の候補者が集まってくれたり。これまで脇目も振らずに本質的な価値を求め、全力で仕事をやってきたことが一番の財産なっています。おかげでなんとかバリューを出しながら会社を成長させていけるのではと思ってます。
自分のビジネスはソーシャルメディアの管理分析ツールを持ったBtoBのビジネスです。各企業のソーシャルメディアで解決できる課題を徹底的にヒアリングし、各社オーダーメイドのソリューションを提供する、コンサルティング×営業の仕事をしています。企業をよりDo socialからBe socialに変え、成長のドライバーを提供しています。
実はこの事業はDeNAでずっとやりたかったが、リソース問題・事業優先順位の関係でできていなかった事業。最後に手がけたゲーム攻略メディアの中で見つけた、ユーザリレーションの可能性を究極まで掘り下げたビジネスです。
この分野は非常に面白い。Sprinklrはアメリカでは急成長を遂げていて、創業5年ですでに1000人ほどの従業員、全世界8カ国の拠点、毎日増える人、クライアント。かなりの頻度でアップデートしていくシステム。急成長していくダイナミズムを感じながら、自分がまだまだドラスティックに成長できることが明確に見えていく毎日が最高に楽しいです。
現在は日本を駆け回っていますが、正直日本はSocialに関して、アメリカと比較すると圧倒的に劣っている。特にソーシャルに対する意識の高さ、コストのかけ方が桁違い。アメリカでは、マーケも、CRMも、商品開発も、市場調査も、CSも、あらゆるタッチポイントでソーシャルを有効活用して、成果を出している。
現在はNYにおり、10日ほど滞在する予定です。理由は、自分も完璧に理解できていない、アメリカでのソーシャルに対する目的、戦略、戦術を徹底的にインストールするため。もしご興味ある方は、帰国後に色々とお話ししましょう!
アメリカで異常なまでに加熱している市場を、日本においても醸成するべく、カッティングエッジをインストールしてきます。